湿疹・皮膚炎
赤み、かさかさ、痒みを引き起こします。乾燥やアトピー、汗や皮脂が原因になることもあれば、かぶれ、アレルギー、虫刺されなど外からの刺激が原因のこともあります。ひどい場合は水ぶくれができる場合もあります。
治療はステロイド外用薬や保湿剤を使用します。細かく分類すると多岐にわたります。
じんましん
痒みや赤み、膨らみ(膨疹)を引き起こしますが1日以内に出たり治ったりすること、あまりがさがさせずツルっとしていることが多いことが特徴です。痒みではなくチクチクとした痛みを感じることもあります。発症して6週間以内を「急性じんましん」、それ以上経過した場合を「慢性じんましん」と呼びます。治療は抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの飲み薬や塗り薬が中心となります。必要に応じて原因検索も行います。似た疾患に、クインケ浮腫、口腔アレルギー症候群、肉芽腫性口唇炎などがあります。
アトピー性皮膚炎
慢性的に乾燥・湿疹を繰り返し、アレルギー性の鼻炎や結膜炎、喘息を合併することも多い疾患です。乾燥肌体質による皮膚のバリア機能の低下、アトピー素因(アレルギー体質)などが複雑に関与しています。湿疹や搔いてしまった傷からの細菌感染・ウイルス感染を発症することがあり注意が必要です。治療はステロイドの外用や保湿、重症であれば免疫抑制剤シクロスポリンの内服や生物学的製剤デュピクセントなどの注射を行います。
にきび(尋常性ざ瘡)
10~30歳代頃、多くの方が経験される疾患で、顔や背中、胸部に生じることが多いです。胸や背中のニキビはマラセチアというカビ(真菌)が関与している場合もあります。毛穴に角栓が詰まることで面皰(白ニキビ、黒ニキビ)ができたり、面皰に炎症が起こることで炎症性丘疹(赤ニキビ、膿疱)ができ、治癒してから赤いニキビ痕やクレーターが残ってしまうこともあります。
毛穴の詰まりを取る治療と炎症を抑える治療を組み合わせる必要がある複雑な疾患で、保険の効く治療、自費診療いずれもたくさんの治療薬がございます。皮膚の状態や症状に応じて最適な治療を提案いたします。
酒さ(しゅさ)
頬、鼻、おでこなど顔の中心部の赤みが特徴の疾患で、毛細血管が拡張して肉眼で見えてしまうこともあります。赤いぽつぽつや膿が溜まったような膨らみができることもありニキビと見た目がそっくりなこともあります。顔の血管拡張や毛穴周囲の炎症、ニキビダニ等が原因と言われていますが根本的な原因がよくわかっていない疾患です。外用剤、内服薬、血管を壊すレーザー治療(V beam Ⅱやノーリス)などを用いて治療を行います。
単純疱疹
口唇などの口周りや陰部・臀部に発症することが多いですが、他の所に発症することもあります。治療は抗ウイルス薬を使用します。疱疹が出る前にチクチクするといった予兆があることが多く、その時点で薬物療法を始めると治りが早まります。単純ヘルペスウイルスは一度感染すると生涯体内に潜伏するため、寝不足、疲労、風邪などで免疫力が低下すると再発することがあります。一般的には抗ウイルス剤を5日間内服ですが、性器ヘルペスが1~2か月で繰り返す場合は再発抑制療法でバルトレックスを1日1錠を連日内服治療もあります。
帯状疱疹
水痘(みずぼうそう)と同じウイルスによって発症する病気です。神経に沿って赤い斑点と水ぶくれが出現するのが特徴で、寝られないほどの強い痛みを伴うこともあればまったく痛くないこともあります。顔に生じた場合、目の障害や顔面神経麻痺、内耳障害によるめまい・耳鳴りなどが起こることがまれにあります。皮膚が治ってからも痛みの後遺症が残ることがあり、発症早期に治療を始める必要があります。
乾癬
赤い斑点が全身に出現する疾患で、赤い斑点に銀白色の鱗屑(粉を吹いたようなカサブタのような見た目)を伴うのが特徴です。痒みを伴うこともあります。頭皮、肘、膝、臀部、下腿などに生じることが多いのが特徴で、爪の変形がみられることもあります。一部の方は乾癬性関節炎を伴い関節が痛くなることがあり、関節破壊をきたすこともあるので放置してはいけません。皮膚の症状と関節症状がある場合、早めにご相談ください。
水虫(足白癬、爪白癬)
白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が入り込んで発症する病気です。白癬菌が増殖しやすい夏に症状の悪化がみられます。足指の間の皮膚がふやけたように白く濁り、じくじく、かさかさ、赤み、水ぶくれなどが生じたり、足指に水ぶくれや細かい皮むけが生じます。踵(かかと)を中心に足裏の皮膚が厚くなり、ひび割れたり、粉をふいたりすることもあります。異汗性湿疹という見た目がそっくりな疾患と区別するため、顕微鏡で白癬菌を検出する検査を行います。爪白癬は爪の白濁や肥厚、変形を生じるのが特徴です。その他にも掌蹠膿疱症なども似ている症状が出る場合があります。
いぼ
皮膚が硬く盛り上がる病気をまとめて「いぼ」と呼びますが、具体的には尋常性疣贅や扁平疣贅、脂漏性角化症等が含まれます。
尋常性疣贅はウイルス性のいぼで、お子様の手足にできることが多いですが大人になってから発症することもあります。扁平疣贅もウイルス性で、青年期の顔にできることが多い薄茶色で平坦ないぼです。脂漏性角化症はほとんどの人にできるいぼで、日光をよく浴びる箇所(特に顔や首)によく出現します。
どのいぼも液体窒素療法や手術で治療を行います。
円形脱毛症
後天的に円形の脱毛を生じる疾患で、髪の毛以外に眉毛、体毛にも生じることがあります。甲状腺疾患や自己免疫疾患を合併することもあり、場合により採血検査も実施します。内服治療やステロイド外用、紫外線療法等を組み合わせて治療を行いますが重症の場合は免疫抑制療法が必要なこともあり、その場合は総合病院や大学病院と連携して診療を行います。
たこ、うおのめ(胼胝、鶏眼)
たこ(胼胝)はよく擦れたり体重がかかったり箇所に発症する疾患で、皮膚の角層が分厚くなることで生じます。足底や足の裏にできるのが一般的ですが、足首や臀部にできることもあります。うおのめ(鶏眼)も同じく角層が厚くなる疾患ですが、角層の一部が深く食い込んで痛みを伴います。いずれもメスやカミソリで削る治療を行います。尋常性疣贅というウイルス性のいぼの場合もあるためダーモスコピーで確認いたします。
皮膚腫瘍
良性腫瘍、悪性腫瘍含め様々な疾患があります。当院では日帰りの手術も行っております。まずは診察をさせていただき、診断や手術の方法をお伝えいただきます。混雑度合いによって後日手術の予約を取得していただいての実施になりますが、疾患や術式によっては当日手術を行える場合もあるためまずは気軽にご相談ください。
病状(画像検査による精査が望ましい場合や、クリニックでの手術が困難な大きさ・疾患の場合など)により当院より当院での治療が難しい場合、総合病院・大学病院等にご紹介させていただく場合もございます。
当院では下記のいずれも行っています。
・通常のメスによる切除、縫合
・円形のパンチメスを用いて傷跡を最小限にする手術(巾着縫合)
・粉瘤のくり抜き法手術
・ラジオ波メス(サージトロン)を用いて出血や傷跡を最小限にする手術